ツール・ド・フランスで76年間1度も優勝したことがなかったイギリス人チームを優勝に導いたデビット・ブレイルスフォードが実践して有名になったのが「マージナルゲイン思考」です。
「マージナルゲイン」とは、1%しか効果が見込めないような小さな施策を積み重ねることで、大きな成果を得ようとする考え方です。
サイクルロードレースの弱小国で後進国のイギリスチーム(チーム・スカイ)からツール・ド・フランス初の優勝者を5年以内に輩出する、という目標をデビット・ブレイルスフォードが掲げたとき、誰もがそんなことは無理だろうと思っていました。しかし、選手たちのパフォーマンスを小さな要素に分けてすべて測定して詳細なデータベースを作成し、その一つ一つに対してマージナルゲイン(小さな改善)を繰り返すことで、強いチームへと変わっていったのです。その改善は、「感染予防のために、洗濯物は選手ごとに別々に行う」「枕やマットレスを専用のものにし、眠る場所が変わっても同じ質の睡眠を得られるようにする」など本当に小さなものです。
その結果、チーム・スカイは約束の5年より2年も早くイギリス人初のツール・ド・フランス総合優勝を果たし、また翌年には別のイギリス人選手が同じく総合優勝を飾りました。
壮大な構想を立てるより、小さな改善点を探す。
わかったつもりになっていることに改めて目を向け、できることはないか考える。
当たり前なようでなかなかできないことです。
そして、何かの成果を出そうとするとき、飛び道具的は存在しないということを
改めて教えてくれる考え方です。
Comments