あったらいいなをカタチにする デザイン経営②

更新日:9月22日

 かなり時間があいてしまいましたが、デザイン経営の2回目です。


デザイン経営とは

 そもそも今巷を賑わせている「デザイン経営」という言葉。

 これは、2018年の5月に経済産業省・特許庁がデザインによる企業の競争力強化に向けた課題の整理と対応策を検討してきた内容をまとめて「『デザイン経営』宣言」と題する報告書として発表したものです。


 言葉通り「デザインと経営を合体させること」がデザイン経営なのですが、その目的は、ブランドとイノベーションを通じて、企業の産業競争力の向上に寄与することです。


なぜ、企業の産業競争力を向上させる必要があるのか?

 みなさんも御存知の通り、日本の経済成長は長く横ばいを続けています。その原因のひとつとされているのが、国際的な産業競争力の低下です。




 これは、スイスに本拠地を構えるビジネススクールIMDが発表した「世界競争力ランキング2019」です。日本は調査開始当初の1989年から1992年まで1位でしたが、その後、徐々に降下し、ついに、2020年は34位となりました。

 国際競争力が低下すれば、貿易収支の悪化、日本円の価値の下落などの悪影響が出ます。また、日本国内は少子高齢化で需要の減少が見込まれるので、国際競争力を有する産業を育成することで、今後も成長が期待される新興国等の海外市場での需要を獲得することの重要性が高まっています。


 このような産業競争力低下の状況を打開する手法としてデザイン経営が注目され、そして実際に成果を上げ始めているというのです。  『「デザイン経営」宣言』では、デザインに投資をした結果、利益が4倍になったという事例や株価が2倍になった事例などが挙げられ、デザインを強化したことで高い競争力を維持していることが示されています。


あったらいいなをカタチにする

 では、改めて、デザイン経営とは何なんでしょうか?

 それを端的に表している言葉が

あったらいいなをカタチにする(小林製薬)」

です。


 「ヒトが(潜在的に)ほしいと思っているものを作り出す」

 それによって企業のブランド力を高め、競争力を向上させることができる。

 Apple社がしばしば例にあげられるように、パソコンやスマホを作っている会社はたくさんありますが、Apple社が描く世界観から生まれた製品(デザイン)がApple社のブランド力となり、他の企業には代替できない唯一無二のものになって、根強いファンを生み出しています。

 デザインの力でブランド力を向上させることがデザイン経営のひとつの柱となります。


 「中小企業には関係ないよ」とおっしゃる方がいるかもしれません。

 しかし、資本力や情報量、人材面では都市部の大企業に勝ち目のない中小企業や地方企業が付加価値を生み出し高い競争力を獲得するためには、独自性の高い事業・商品(技術)・サービスを生み出し、独自性を磨き、その価値を欲している顧客に届けることが必要となるのです。

 それゆえ、デザイン経営は、中小企業・小規模事業者にとってこそ有益な経営手法とも言えます。


イノベーション力とは

 デザイン経営においてブランド力と並ぶもうひとつの柱。

 それが「イノベーション力」です。

 イノベーションというのはビジネスに新しい価値を生み出す変革のちからです。

特にデザイン経営においては「社会のニーズを利用者視点で見極め、新しい価値に結びつける」ことをいいます。イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」があります。

 持続的イノベーションとは、既存の市場において顧客に求められている価値をさらに向上させることでイノベーションを起こすことを指します。すでにユーザーとなっている顧客の満足度を向上させるようなイノベーションであり、日本企業が得意としてきた「改善」「改良」がこれに当てはまります。


 1997年にハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した「イノベーションのジレンマ」でいうところの「破壊的イノベーション」は、既存の概念にとらわれず、新たな発想を積極的に取り入れることで、新製品や新サービスを生み出していくものです。

 この「破壊的イノベーション」を起こすためには、自由な発想や闊達なコミュニケーションが不可欠です。コミュニケーション量を増やすために、自社の組織の活性化に取り組むことが必要となります。


アジャイル型組織

 デザイン経営に必要とされている「アジャイル型組織」とは、新しい価値を素早く提供するために、速やかな意思決定のもと課題を解決に導く組織です。

 アジャイル型組織のメリットは、意思決定が早いため変化に対応しやすく、変化の中で学習して改善することができるために生産性が高いことです。

 日本の企業の多くは、権限が社長にあって組織の上下関係が明確に存在します。 一方アジャイル型組織では、トップだけでなく各チームの社員にまで権限を分散させることで枠にとらわれない自由な発想を融合させることができ、イノベーションが起きやすくなります。

 そのためには、組織を活性化させ、自由な発想が共有される下地を作っておくことが大切です。


組織を活性化させるために

 「組織の活性化」と言われてまず初めに何をやるべきか。

 それは、想いや考えを言語化すること、と私は考えています。経営者やリーダーだけではなく、チームのすべての人が想いを言語化できるようになると、組織は見違えるように変わります。でも「想いを言語化」って難しいですよね。経営者の方々は日頃から想いを言語化する機会が多いですが、従業員、特に、社長や上司の言うことをこなす、というやり方に慣れてしまっている組織では、「今更自分の意見を言っても何もかわらない」「話し合いをすることが面倒」「今まで通りやっていればいい」という考えに陥りがちです。

 しかしアジャイル型の思考、組織内外のステークホルダーとの共創を目指すためには、コミュニケーションを活発化させること、さまざまな思想や意見を引き出すことが大変重要になってきます。その第一歩が「想いの言語化」なのです。


まとめ

 商品の機能や価格による差別化が容易でない時代に「選ばれる」企業になるためには、自社が社会に存在する意義を明確にする必要があります。そのための手段としてブランド力とイノベーション力を向上させて、企業の競争力を高める「デザイン経営」があります。その効果を最大限に発揮しイノベーション力を向上させるためには、組織を活性化をさせることが大切です。組織を活性化させる第一歩として、組織に属する人全員が「想いを言語化する」ことができるようになれば、デザイン経営への第一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

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